◆◆◆学びの鍵◆◆◆
こちらでは、メールマガジンで取り上げられた内容を掲載しています。
2023年11月1日(第15号)
1890年、日本初の電動式エレベーターが東京・浅草の展望塔「凌雲閣(りょううんかく)」に設置された11月10 日を、一般社団法人日本エレベーター協会が「エレベーターの日」と定めました。 残念ながら関東大地震により凌雲閣は倒壊してしまいますが、100年経った現代の日本では、約78万台のエレベーターが稼働しています(※1)。
しかしこのエレベーターがより広く普及した分、災害時の備えも必要となっていると言えるでしょう。
2018年6月18日に発生した大阪北部地震において、人身事故はなかったものの、近畿2府3県(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県)を中心に、エレベーターの運転休止は63,000台、閉じ込めは346台で発生しました。
これを受けて国土交通省住宅局建築指導課は、大規模地震時の「閉じ込めの発生及び救出の遅れ」「運転復旧の遅れ」「故障の発生」という課題に対して、報告書をまとめています。
例えば閉じ込めが起こりにくいエレベーターの開発・設置をはじめ、エレベーター内の防災キャビネット設置の普及啓発や、病院、サービス付き高齢者向け住宅の優先対応、より多くのビルのエレベーターの早期復旧のために、複数台設置されているビルでも「1ビル1台復旧」という対応をするという方針の普及啓発、などが盛り込まれています(※2)。
居住環境だけでなく、勤務先、公共施設、商業施設など、多くの人が日に1回は使用する身近な存在であるエレベーターですが、大規模災害時には即時に停止し、一定期間は使用できなくなることを前提に備えておく必要があります。そして発災時には、通信の輻輳を避けるためにも、建物の管理者が代表して復旧要請を行ったり、利用者に理解と協力を求めたりするなど、周囲への声掛けを積極的に行うようにしましょう。
※1 一般社団法人日本エレベーター協会HP「11 月 10 日が「エレベーターの日」になったワケ」
https://www.n-elekyo.or.jp/docs/20231010_ElevatorCampaign.pdf
※2 国土交通省 住宅局 建築指導課 「エレベーターの地震対策の取組みについて(報告)」
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001354002.pdf