助けられる人から助ける人へ

お問い合わせはTEL.03-6261-0003

メールマガジン掲載記事

◆◆◆活動の鍵◆◆◆

こちらでは、メールマガジンで取り上げられた内容を掲載しています。

2023年12月1日(第16号)


【トルコ・シリア地震における救助活動の講話から考える自助】

 今年2月6日、現地時間4時17分にM7.8の、同じ日の現地時間13時24分にM7.6相当の地震がトルコ南東部で発生しました。隣国シリアでも大きな被害が出て「トルコ・シリア地震」と言われています。死者はトルコで5万人以上、シリアで6千人以上とされています。​​​​​​​  先日、そのトルコで約10日間の救助活動と1か月半の医療活動に携わられた森永義信氏から、弊社代表の玉田太郎をはじめセンター職員が約1時間お話を伺いました。
 発災から1日も経たないうちに隊員として羽田に向かったこと、現地では最低気温零下10度の寒さの中で、健康を維持しながら救助活動を行ったこと、耐震基準が形骸化していた現地で、パンケーキクラッシュ(中層以上の建物が1階・2階・3階と何層にもわたり層崩壊を繰り返し、床・天井が重なって崩壊してしまう現象)を起こしたビルに閉じ込められた方を救出する際に、二次災害とならないように事前に隊の一員である「建築士」による構造評価を行ったことなども伺いました。日本では今年7月に富山県南砺市で市議会議員の方が、氾濫の恐れのある地域住民に避難を呼びかける途中で土砂崩れに巻き込まれて亡くなられました。トルコと日本で環境は異なるものの、まずは自分の命を守ることの重要性を感じます。
 また森永氏によると「通訳」の役割も大きいとのことでした。海外での救助活動に関わる機会は限られているかもしれませんが、日本でも、日本語が話せない方々への災害情報の共有をする際や、海外からの支援者を受けいれる際、より効果的な救援を受けるために、語学の素養は医療や土木技術に匹敵する大きな力になります。しかし同時に充分なメンタルケアの態勢を整えることも重要であろうと仰っていました。被災者と同様に、救援者の心のケアについても態勢を整えること、救援者自身も、自分のメンタルケアに気を配ることが必要であると言えるでしょう。
 2023年も残り1か月となりました。気候変動の影響で、自然災害は頻発し激甚化し、しかも発生する場所を選ばなくなりました。いつ自分の住む場所が被災しないとも限らない状況で、いかに地域の災害への対応力を高めるか、まずは私たち一人一人の自助力を高めることを改めて新年の目標にしたいと思います。 ​​​​​​​

防災士研修センター防災士研修センター

〒102-0093
東京都千代田区平河町2-7-4
砂防会館別館7階