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メールマガジン掲載記事

◆◆◆活動の鍵◆◆◆

こちらでは、メールマガジンで取り上げられた内容を掲載しています。

2024年1月5日(第17号)


【ナマハゲから防災を考える】

 昨年の大みそか、秋田県男鹿半島一帯では、ナマハゲ行事が行われました。
 皆さんも良くご存じのとおりナマハゲは、「怠け心を戒め、家の厄を祓い、無病息災・田畑の実り・山の幸・海の幸をもたらす来訪神」です(※1)。
 ナマハゲに扮するのは地区の青年会に所属する人々で、訪問する家々から家族の1年間の状況のメモを事前に受け取ります。家を訪れると部屋の中まで立ち入り、メモをもとに訓戒の言葉を伝えるのですが、同時にその家で家族がどのように生活しているかを把握しているのです。防災の観点でいうと、例えば「個別避難計画」の策定に必要な情報が行事を通じて収集できるともいえます。
 ナマハゲの来訪のない多くの地域では、防災士会をはじめ、町内会、自主防災組織、消防団などに加入して地域の安全を守る仕組み、活動は、とても重要であると言えるでしょう。さらに2013年(平成25年)の災害対策基本法改正において新設された「地区防災計画制度」について、その地域に暮らす住民として、あるいは通勤する企業の従業員として、自発的な防災活動にもぜひ積極的に取り組みたいものです。
 一方で、ナマハゲ役を務める若者の減少など、少子高齢化による担い手不足のため2012年には実施集落が全148集落のうち77集落(52%)にまで落ち込みました(※2)。2018年「来訪神(らいほうしん):仮面・仮装の神々」としてナマハゲを含む8県10行事がユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、その中には今回の「令和6年能登半島地震」で大きな被害を受けた石川県輪島市・能登町の伝統行事「能登のアマメハギ」(※3)も含まれています。しかし、昨年12月22日に国立社会保障・人口問題研究所が公表した「地域別将来推計人口」によると、「珠洲市と能登町は2050年には2020年の4割未満に落ち込む」(※4)とされています。こういった地域が被災した場合、いかに支援していくのか、日ごろの備えも含めて、改めて考え直し、行動してみるのはいかがでしょうか。
 
※1 男鹿市ホームページ「男鹿のナマハゲ」
https://www.city.oga.akita.jp/soshik/bunkasportska/bunkazai/2/1518.html
※2 日本経済新聞WEB「なまはげ伝承に「黄信号」少子高齢化で担い手不足」
https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1800R_Y3A410C1CC0000/
※3 石川県ホームページ「能登のアマメハギ」を含む「来訪神:仮面・仮装の神々」ユネスコ無形文化遺産の「代表一覧表」に記載
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/kyoiku/bunkazai/mukeibunkaisan/amamehagi_unesco.html
※4 読売新聞オンライン「県人口40年に100万人割れ 奥能登50年には半減」
https://www.yomiuri.co.jp/local/ishikawa/news/20231222-OYTNT50212/
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