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メールマガジン掲載記事

◆◆◆学びの鍵◆◆◆

こちらでは、メールマガジンで取り上げられた内容を掲載しています。

2024年2月1日(第18号)


​​大災害の復旧・復興と地域の守り手

 今年の元日に発生した令和6年能登半島地震では、多くの家屋が全壊や半壊、一部損壊などの被害を受けました。この地域は数年にわたる群発地震を経験しており、その群発地震による建物疲労の影響を指摘する調査報告があります(※1)。また、道路が寸断され、被災者の救助や避難、支援物資の運搬、インフラの復旧に大きな障害となりました。
 このような状況は、今回の地震に限らず、どこでも経験する可能性があるでしょう。建物の安全性について見ると、十分な耐震化が出来ていない住宅は、全国にまだ多く存在します(※2)。一方で、建設業就業者数は阪神・淡路大震災2年後の1997年のピーク時から大幅に減少しており(※3)、家屋の耐震化や補強工事をしようとしても、なかなか出来ないかもしれません。市町村における土木部門の職員数も1996年をピークに減少しており(※4、※5)、各自治体で人材確保に苦慮しています。
 総務省が2020年に創設した「復旧・復興支援技術職員派遣制度」により、被災地に中長期で技術職員が派遣できるようになり(※6)、能登半島地震の現場にも活用されていくと思われます。また、既に地域の企業や団体が、道路復旧の活動に尽力されているようです(※7)。
 自然災害はいつでもどこでも発生します。しかし、復旧・復興に関する課題は地域や時代によって様々です。今は災害時に公助の手が十分届かない可能性があることも想定しつつ、新たなアプローチが求められます。例えば、家屋の耐震化や復旧の取組みを進める際に、地元の専門家や技術者と連携して地域コミュニティの協力体制を強化することも有効でしょう。それに加えて、日常的な生活においても災害への備えを怠らず、持続可能な対策を講じることも重要です。
 防災士の皆さんには、今まで学んだ防災の知識だけでなく、それぞれの地域の特性や現代の課題に適した新たな対策を模索し、実践していただきたいと思います。

※1 土木学会 地震工学委員会 令和6年能登半島地震(M7.6)に関する速報会 現地調査速報 建物被害 P3
※2 国土交通省 住宅・建築物の耐震化率の推計方法及び目標について P4
※3 国土交通省 最近の建設業を巡る状況について P5
※4 国土交通省 2.持続的なメンテナンスの実行体制のための地方自治体支援 P2
※5 国土交通省 第1回群マネ計画検討会・群マネ実施検討会 参考資料 P4
※6 総務省 復旧・復興支援 技術職員派遣制度
※7 令和6年能登半島地震 石川県建設業協会の災害対応


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