防災士インタビュー

村上祐資さん

お仕事の内容をお聞かせください

大学院の博士課程に所属し、「極地建築」をテーマとして研究活動を行っています。極地建築とは、極限環境下に生きる人間と建築の関係性をひも解くことが目的です。
 被災経験ではありませんが、南極の昭和基地で危険と隣り合わせの生活を1年半の間、送っていました。昭和基地では万が一の事態に備え、レスキューチームを編成し訓練を積んでいます。また毎月1回は火災訓練を実施しています。南極の過酷な自然環境の中で、1年以上の間、外部からの一切の補給が断たれ、28人の越冬隊員だけで全てをまかなわなくてはならない生活は、日本では体験できないものでした。

なぜ防災士の資格を取得しようと思われましたか

南極から帰ってきたときに、1年半の生活のなかで得た経験と感覚をここで途切らせたく無いと思いました。南極での経験をベースとして、もっと「生きる」ことへの知識とスキルのレベルを高めていきたい、そう思ったのがきっかけです。

防災士の資格を取得して得たことを、どのように役立てようとされていますか

防災士の資格を得たからといっても、すぐに地域に役に立てるとは思っていません。資格を取得した後に地域の消防団に所属しましたが、むしろ長年現場で活躍されてきた先輩消防団の皆さんからは教えられることばかりです。しかし、防災士としての知識がベースにあることで、災害を全体像として捉えることができ、個々の活動の意味と重要性を深く理解することができていると思っています。

現在、実際に取り組まれていることがありましたらご紹介ください

地域消防団員としての活動の他に、防災士としては直接関係がないかもしれませんが、この秋から豊島区巣鴨小学校にて、小学校高学年を対象に〈秘密基地ヲ作ロウ。〉[ホームページ][facebookページ]という連続ワークショップを開催しています。また文化学院クリエイティブ・メディアセンターにて、社会人や学生の方を対象に〈連続講座&研究会「スイーツよりペン──生きる・東京・未来」〉[ホームページ]という「〈生きること〉から生まれるカタチ」を探すことをテーマとした講座の座長を務めさせて頂いています。南極での経験や、僕の震災への考えなどをワークショップや講座の中で伝えていきたいと思っています。

今後の課題、抱負をお聞かせください

いつになるかは分かりませんが、もう一度南極に行きたいと思っています。最初の越冬と違ってどれだけ大変なことかを理解しているつもりです。大変だと分かっているからこそ、自分を今よりももっと成長させなければ、もう一度手を挙げる自信が持てない。その自信を身に付けることが目標です。そして僕の研究で極限環境下に生きる人たちの暮らしを良くしたい。そこには南極のような極地だけではなく、被災地の生活も視野に入れています。

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