防災士インタビュー
工藤 淳さん
お仕事の内容をお聞かせください
本職は気象予報士です。気象に関することは何でもやってきました。ローカルな零 細民間気象会社ですから。60歳の還暦を区切りに10年以上続いたラジオ番組のコ メンティーターをはじめ、テレビ出演や天気予報などの現場の仕事はすべて若いス タッフにまかせて、現在はマネージメントと後継者の育成が主な仕事です。 たまには根強いリピーターからの講演程度でしょうか。
なぜ防災士の資格を取得しようと思われましたか
気象情報の精度はここ20年でものすごく改善され進歩しています。私は地元では40年も空を見続けていますので,天気が大荒れになることは数日前から分かりま
すが、その対策は甘いことが多いのです。いかに精度の高い気象情報を発表しても、その情報を利用する側の理解度や活用方法によって効果がぜんぜん違ってしまいます。一例をあげると気象庁から発表される「津波警報」であり、市町村から発表される
「避難指示」です。新聞報道では避難する住民のいかに少ないことか。そしてそれがずっと繰り返されています。地球温暖化が進んでいるうちは、これまで以上にシビアな気象現象が想定されます
から、自然を甘くみてはいけません。
そして大地震の発生確率が宮城県沖で98%から99%になった時に、防災には限度があるのでこれからは減災だと強く思いました。そのためには災害現場を直接自分の目で見て、被災者から直接話を聞くことが大切
だろうと。若い頃に海の天気を知るために釣りをし、山の天気を知るために登山をしたように。
実際に取り組まれていることはございますか
防災士の地位向上と防災士のネットワークづくり。青森県防災士会を立ち上げて7年目になります。防災士会としては全国で一番早くNPOにしました。昨年は北東北3県で連絡協議会を結成し、東北の防災士会空白地域をなくすること にも取り組んでいます。今年は行政からの依頼も増えて、防災アドバイザーの推薦や県防災会議のメンバー推薦も依頼され、私自身は県の総合計画審議会の委員を委嘱されました。知事に対して安心・安全対策を直接提言できることはめったにないチャンスだと思 っています。また、青森市役所庁舎整備基本方針へは「防災に強く市民の安心安全な庁舎」としての意見を具申しています。防災士としての一歩ずつの活動が防災士の地位向上につながってきたようで嬉しく思っています。
今後の課題についてお聞かせください
防災士は権限もなければ義務もありません。防災士としての理念で活動しています。仕事がらペーパー気象予報士が増えているのを目の当たりにしますが、防災士も活 動していないと初心を忘れ、ペーパー防災士になってしまいます。折角の防災士資格ですから、理念・知識・技能を維持・アップするためにも、是非地元の防災士会に加入して活動してほしいと思います。 願がわくば次代を担う子供たちが、社会貢献はあたりまえのことと認識し、助けられる人から助ける人になってほしいです。
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