防災士インタビュー
勝丸 恭子さん
お仕事の内容をお聞かせください
NHK広島放送局の気象キャスターとして、朝と昼の気象情報を担当しています。
出勤するとまず、天気図などたくさんの資料を見てその日の天気のポイントを押さえます。どの画像を使って説明するのが一番伝わるか、どういう表現の仕方をすれば見てくださる方に届くかを考えながら、話す内容を考えていきます。大雨など災害につながるような状況の場合は特に、神経を使って注意喚起の言葉を選びます。
なぜ防災士の資格を取得しようと思われましたか
広島県は瀬戸内海と中国山地とに挟まれた自然豊かな場所です。それだけに都市部の多い沿岸の地域と、山間部とで天気が大きく違うことがよくあります。瀬戸内の比較的穏やかな気候のイメージがあると思いますが、梅雨時の豪雨、大雪など災害につながることも度々あります。土砂災害危険個所は全国最多です。私が気象キャスターを務めて一年目(2010年)にも、山間部で豪雨災害がありました。レーダーで発達した雨雲がかかっているのを、どうか被害が出ませんようにと祈る気持ちで見て、どうか早めの避難を、警戒をと放送でお願いすることがあります。その時に、「大雨の恐れがあります」「土砂災害に警戒を」というだけでなく、どう備えてどう動けば良いのか、何に気をつけるべきなのか、具体的なアドバイスを出来なくては意味がないと思ったことがきっかけです。
防災士の資格を取得して得たことを、どのように役立てようとされていますか
気象情報をお伝えする立場として、呼びかけをしっかりしていきたいと思います。 研修テキストの中に「避難勧告・指示よりも、気象情報を参考にしている」という統計を見つけ、身の引き締まる思いでした。
天気についての詳細な情報だけでなく、その状況から想定できること、災害を防ぐためにやるべき準備、心構え、いざという時の対応、判断のポイントになることなど、細かく地域の実態に合うように呼びかけたいと思っています。今年は5月半ばからまとまった量の雨が降ることが多くあります。防災士の研修を受けた直後にも、「大雨に注意を」と呼びかける機会がありました。この時の注意喚起には、早速研修で学んだことを盛り込みました。大雨の度に、気をつけるポイントはそう大きく変わらないため決まりきったコメントを使ってしまいがちです。そうなると、視聴者にとっても「よく耳にする台詞」になってしまい、改めて注意をひくことが難しくなると思います。全国的によく使われるコメントではなく、自分の言葉・地域にあったコメントにすることで、より血の通ったものになると実感しました。また、災害につながりそうな天気の時以外にも、ことあるごとに日頃からの備えを呼びかけていきたいと思います。
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