防災士インタビュー
羽多野重信さん
お仕事の内容をお聞かせください
3年前に名古屋大学を定年退職しました。大学では医薬品,化粧品などの微粉末から,セメント,石炭など大規模に扱われるものまで,「粉体」を対象にした研究に従事し,この分野で工学博士の学位を取得しました。退職後すぐに再就職した現在の会社においても,これまでの経験を生かしたコンサルティング的な業務に従事しています。そんなわけで,「防災」とは全く縁のない分野にいましたので,防災の重要性についてもほとんど考えたことはありませんでした。私の研究分野の中で若干関係がありそうなのは,土石流,土地の液状化など,土の強度を評価する方法に関する部分です。現在もこの分野の研究は続けていますので,また別の観点から研究を捉え直すことができそうです。
ご自身で被災された経験がございましたら、お聞かせください
被災経験はほとんどありません。ただ,小学生のときに伊勢湾台風を経験しているのですが,高台の住宅に住んでいてほとんど被害はなかったように記憶しています。それでも,海岸近くの住宅が水につかり道路が冠水している様子を見て子供心に恐怖心を抱いたのをかすかに思い出します。
なぜ防災士の資格を取得しようと思われましたか
2年ほど前,妻が友人に誘われて,愛知県の防災コーディネーター養成講座を受講しました。その模様を聞いているうちに少しずつその重要性を感じてきたのですが,それでもまだ,自分自身が実践するという意識には至りませんでした。防災士の資格取得に決定的となったのは,名古屋大学で開催された防災シンポジウムに参加したとき,福和伸夫教授の講演を聞いてあまりに自分の意識の低さに衝撃を受けたことと,知り合いの市会議員が取得を目指していることに触発を受けたことです。
防災士の資格を取得して得たことを、どのように役立てようとされていますか
自分が住んでいる地域には,かつて自治会の役員をしているときに,市からの要請で自主防災会の組織がつくられました。それ以後実質的には関わっていませんので詳細は分かりませんが,具体的な活動はほとんど見られないように思います。何らかのきっかけを探し出して,自分から地域に関わっていくよう心がけていきます。そして,防災・減災の活動に積極的な町づくりを目指したいと思っています。
今後の課題、抱負をお聞かせください
現在は仕事で精一杯という状況ですので何もできませんが,近い将来,2回目の退職をした後はボランティア活動を中心としたライフパターンに切りかえていくつもりです。そのときに本格的に地域の防災・減災運動に力を注いでいきたいと思っています。今回、防災士を取得したのは,その時になってすぐ活動に移れるようにとの思いからです。日頃から折あるたびに,防災・減災に関する情報を収集し,知識を深めていくように心がけていきます。
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