防災士インタビュー
岩城 稔哉さん
岩城さんのお仕事内容について
岩城さんは味の素株式会社の川崎事業所総務エリア管理部にお勤めです。 川崎事業所(川崎工場)は国内にある3工場の中で最大の事業所であり、工場と研究施設を合わせて敷地面積は約10万坪(330,000平方メートル)の広さです。 平日は、社員・協力会社・お客様など約3,500人が事業所内にいて、岩城さんは、安全管理・防災管理・入出場管理・教育管理を担当されています。
職場周辺の災害環境はいかがでしょうか
川崎事業所はある意味、特殊な立地条件となっています。
北側を多摩川が流れ、東西と南側の近隣には住宅が迫っています。また、南側の塀沿いには京浜急行電鉄の大師線が走行し、その上部には高圧電線もあり、大規模小売店舗も徒歩30秒という環境です。弊社正門前の京浜急行電鉄大師線鈴木町駅は、一般の乗降客の利用も非常に多いところです。
弊社は社会的責任を重んじております。近隣への災害を皆無にとどめるべく、日頃から事業所単位での防災訓練、各単位組織別の消火器訓練、消火栓訓練、そして近隣住民と合同で多摩川への避難訓練を実施するなど、できる限り近隣住民との共存共栄、相互理解を頂けるような工夫をしながら災害環境の整備にあたっています。
事業所内には、古い施設・古い建物もあり、研究施設を中心に免震構造に建て替えを推進しているとともに、危険物や劇毒物についても法律に則った管理徹底をしています。災害が発生した場合には即座に緊急対策本部を立ち上げるなど、備えは万全です。
なぜ防災士の資格を取得しようと思われましたか?
防災担当として事業所内の3,500人の命を自分の手に任された事が一番の理由です。「防災」について言葉ではわかっていても、何をどう対応していくべきなのかが全くわからず途方にくれていた時に「防災士」という資格があることをニュースで知り「これだ!!」と思ったのです。すぐに防災士研修センターに連絡を取り一番早く受けられる講座に参加し資格を取得しました。
防災士の資格で得たことを、どのように職務や地域での活動に役立てようとされていますか
業務では、災害が発生した時に約3,500人を無事に避難誘導し、二次災害による被災も極小化できる施策対応を実行してきました。起震車や煙避難体験、消火器操作法などを体験できるよう防災訓練時に積極的な推進をしてきています。 弊社の事業所内だけではなく周辺地域への防災力強化にも目を向けるとともに、自分自身が住む地域の自治会では交通・防災担当として所轄の消防署と連携し、起震車や消火方法、隣近所の重要性を再認識する活動を展開しています。
現在、実際に取り組まれていることがありましたらご紹介ください
私が事業所に導入した緊急地震速報は震度5以上の地震が想定される場合には、全エリアに対して構内放送で情報が伝わるようになっています。しかし新人の中には内容をあまり知らない者もおり、防災上の伝達教育の重要性を肝に銘じているところです。
また、職場安全衛生委員として活動展開しており、パトロールの項目には転倒防止措置の実施状況と確認を盛り込んで対応しています。震災は忘れた頃にやってくることを3,500人に再認識させたいと思います。
持ち歩く鞄の中には「レーザーポインタ」、「ドライバー」、「ニッパ」を常に入れています。レーザーポインタはかなり遠くまで光が届くので救助要請、自分自身の位置を知らせるのには効果的な道具です。ドライバー、ニッパは震災時には色々と役立ちます。
今後の課題、抱負をお聞かせください
いまや死語になってしまった「向こう三軒両隣」を復活すべく、昔の古きよき日本を取り戻したいと思います。隣の家族構成も知らない状態では、いざ災害が発生してもお互いを助け合うことは絶対にできません。日頃から仲良く何でも話しあえ、注意しあえる環境を目指したいですね。防災の基本は、お互いに関心を持つ心だと信じています。
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